4年間やり遂げた、学内から学外に及ぶデザイン活動
明星デザインでは、すごく忙しい大学生活を送りました。というのも、僕は、他学部の学生も参加する有志のデザイン活動や、学部内でも授業以外のデザインサークル活動をずっと続けてきたからです。たとえば、府中市の駅前イルミネーションイベント、八王子市の浅川の写真コンクール、日野市の自然の魅力を伝えるなど、地域が行うさまざまな催しに参加して、キャッチコピーやマーク、ポスターなど、コンペ形式でのデザイン制作にも取り組んできました。
忙しすぎて辛いときもあったけど、そのぶんの達成感はあります。授業だけじゃなく、たくさんのデザイン活動に精一杯チャレンジしてきたことで、デザインの可能性の広がり、面白さ、楽しさを知りました。その充実感は、明星デザインでしか味わえなかったと思います。
誰にでも開かれた「デザイン」の、さらにその先へ
高校までの僕には、何土台かとなるスキルがありませんでしたが、明星デザインでは新しいことも一から学べることを知って、入学しました。デザインって、色や形をセンスで決めていく、特別な人にしかできないことって思っていましたが、ここで学ぶデザインはちょっと違う。ある課題に対して、まず問題を見つけ、その背景や原因を調査・分析して、問題を解決するためのアイデアを実際に形にしていく。その一連の作業が「デザイン」。そのルールに従ってつくっていけば、どんな問題にも解決が提案できる。だから明星デザインは、特別な人のためではなく、誰にでも開かれた場所だと思います。ただ、有志のデザイン活動のコンペでは、学部で学んだデザインの型からちょっと外れた、目立った提案が選ばれるということもあって、壁に突き当たった時期もありました。でも学年が進み、それまで苦手だった企画力が身についてきたころ、「そもそもその問題のためになぜその課題が必要なのか」と考えることに立ち返りました。
日野市の自然の魅力を伝える絵はがきのデザインでは、子どもたちにとって本当に「絵はがき」で良いのかと疑問を持って、あえて「工作キット」を提案したら、審査の先生から「完璧じゃないですか!」と高く評価されました。すごく嬉しかった。
見えていない問題を見つけられる人になりたい
デザインはルールに則って成り立つ。でも現状を打破する必要があるなら、さらにそのルールを破ってデザインをする。無駄なルールは破っていいんです。僕の場合、発想の原点は「子どものころの心」でした。子どもだったらどう見えるかなあ、と想像すると、固定概念が取り払われた発想が浮かんできたりします。就職は関東に100店舗ほど構えるスーパーマーケットの店舗開発部に決まりました。そこで、店舗の外装や内装を考える仕事に就きます。自社で外装、内装まで手掛けるスーパーマーケットは珍しいらしく、今、僕の目では、これといった問題点が見つからないような完璧な店舗に見えます。でもだからこそ、その中から新たな問題点を見つけられるような、そんな人に成長したいと思っています。
もちろん社会に出ていくのには大きな不安があります。でも、明星デザインで頑張った数々のデザイン活動が、今の僕の自信にもなっています。大学という枠のなかの小さい成功体験かもしれませんが、それは財産となって、きっとこれからの僕の気持ちを支え続けてくれると思います。