人と人がつながるから「デザインは楽しい!」
高校生のころまでは絵やアートに興味があったけど、大学の進学先はデザインを選びました。父がデザインの仕事をしていたので、何となく社会に貢献する仕事というイメージがあって、社会の中でデザインに何ができるのか、自分で考えてみたいと思った。明星デザインでは社会と密接につながるデザインが学べると知って、「ここに入学しよう」と決めました。4年間学んだ今、言えるのは、とにかく「デザインは楽しい!」ってこと。
明星デザインでは、1年生のときから授業はグループワークが主体です。ひとつの課題に対してみんなで意見交換をしながら完成させていく。もちろん考え方の違う人たちもいるけど、そこがいいんです。違う考えを組み合わせることで新しい発想が生まれる。うまくいかないときも、失敗イコール経験みたいな感じでもっと良いものができる。
1人では無理でも人とつながっていくことで、問題解決に近づくかもしれない。明星デザインでの学びは、そこに魅力が詰まっていたと思います。
行政施設「たちむにぃ」との出会い
僕が期待していた社会とつながる授業では、想像以上に、自分の学生生活のすべての中心となっていきました。きっかけは3年生前期の授業「企画表現5」でした。僕たちのクラスの課題は、立川市のゴミ処理施設であるクリーンセンターのロゴマークの提案。市役所の方々にプレゼンテーションを行い、数グループの中から僕たちの案が採用され、今も実際に使われています。
授業での提案を現実に展開するために、市役所の方々と打ち合わせを重ね、最後の微調整まで一緒にすすめました。その時に、行政の仕事の大変さを少しずつ知って「デザインには、もっとできることがあるんじゃないか」という思いが大きくなっていって、4年生の1年間は、前例のないことだったけど志願して、立川市役所でインターンシップを受け入れていただきました。
インターンシップでは、市のイベントへの参加やグッズの提案などを通して、みんなに「たちむにぃ」を知ってもらう活動に力を入れました。テーマは「デザインが主たる業務ではない職場で、必要とされるデザイン力とはなにか」で、それがそのまま卒業研究になりました。
まず、相手の意見を聞くことから始める
僕たちは学生として最良と思う提案をするけれども、行政の方は安全性や規模、コストなど運営面も考えて、話し合いが平行線になることもあります。その視線の違いをどうつなげていくか。僕はそれが明星デザインで学んだ「デザインの力」なんだと思っています。スポーツも同じですよね。僕はサークル活動のサッカー部で、3年生の時、副キャプテンをやってましたが、チームスポーツも選手同士の意見交換がないとうまくいきません。そこで意見交換の機会を増やすための仕組みづくりから考えました。それもやっぱり「デザイン」なのかなって思います。
就職は、ユニットハウスやプレハブの販売とレンタルをする会社に決まっていて、そこでは営業の仕事を希望しています。営業って、提案力が大切だと思うんです。そのためには、まずは相手の意見をよく聞くこと。相手の立場や考えを汲み取ること。そのうえで自分の意見を足してみる。そうやってコミュニケーションを重ねて、みんなが同じ方向を向く努力をすることが何より重要だと思います。