「足りない力」を身につけたい
高校生のときは、大学の進学先に迷いがありました。私は古典が好きで、ずっと国文学を学びたいと思っていたんです。ただ、それは好きっていうだけで、目的やその先の目標はなくて、だとすると、大学の4年間、学び続けるモチベーションが続くだろうかと疑問になってしまって……。
そんなとき、目にとまったのが明星デザインでした。学科の案内には、「デザイン=企画×表現」とありました。さらにその「表現」には、美的構成力の他に、コミュニケーション力とプレゼンテーション力があって、それは私にはまったく足りない力でした。とくにものづくりがやりたいわけではなかったのですが、明星デザインは「デザイン」と名がついていても、企画力を育て、相手に正確に伝えることにも重きをおいていることがよくわかりました。
もちろん今でも古典は大好きですが、それは趣味でいい。大学の4年間は自分の足りない力を身につける期間にしよう。そんなふうに進学先を選ぶほうが私の性格的には向いていると思って、ここに入学することに決めました。
伝えるためのいろんな工夫ができる
とはいえ、実際に入学すると、実技の授業もたくさんあります。私は絵を描くことや工作が苦手だったので、そこは苦労しました。
転機になったのは、企画表現演習4の授業。そこでの課題は、それまでの授業で作成した自分の作品を、クライアントを想定してプレゼンテーションするというものでした。
それがどういうアイテムか、ことばだけじゃ伝わらなくて、場合によっては絵や図も必要。自分で撮影してスライドも作成しました。文章を書くのは得意だったけど、資料の文章は相手がぱっとわかる端的なものにしなきゃいけない。プレゼンテーションは5分という時間でしたけど、何を使ってどう伝えようか、自分なりに考えました。個々のスキルが使えるようになったというより、相手に正確に伝えるためにはどうすれば効果的か、いろいろな工夫ができるようになった。それが大きな自信になりました。
社会人になっても挑戦を続けたい
明星デザインでは、どの課題も、最終的に企画や何か形をつくるとしても、そこまでの過程に多くの時間を割きます。私は、具体的な将来は何も考えていない状態で入学しましたが、4年間、問題点を分析し解決策を探るという学びを通して、もっともっと自分たちの身近な生活のなかでできることがたくさんあるんじゃないかと思いました。それで就職は、衣食住の複合大型店舗を全国展開する小売業を志望しました。
私が就職する会社は、入社すると、全員がまず店舗での接客からスタートします。お客様を知る、お店を知ることがすべての基本になるからです。その先の進路は、自分で決めていくことになります。会社ではビジネススクールという学びの場を提供しているので、もし自分でやりたいことがあれば、そこで必要な知識や資格をとる必要があります。
今は私は2つの道を希望していて、ひとつは、店長職などで地域に密着した経営に携わること。もうひとつは本社で会社全体の広報、PRや販促に関わることです。どちらにしても、店舗勤務をしながら休日はスクールに通う、仕事と勉強を両立させなければなりません。厳しいですけど、私はきっと、挑戦するってことが好きなんだと思います。