デザイン学部での学びを具体的に知ってもらうため、またこれから就職活動や卒業研究に取り組む後輩への参考として、2021年3月12日、2020年度卒業の4年生3人に「4年生の1年間をどの様に過ごして来たのか」各自の経験を話してもらいました。全4回の連載企画です。
第1回:これから、就職活動や卒業研究に立ち向かっていく君たちへ
トーク出席者紹介
司会:武藤努 教授
4年生
足立達也:ずっと好きだったアニメの制作に携わることができるアニメーション制作会社・(株)デイヴィッドプロダクションを第一志望として就職活動を展開し、みごと合格。卒業制作は就職活動と重なるように、アニメをテーマとした〈「動き」に着目したアニメーションのリアリティについて〉を選択。
黒崎結梨花:モノづくりを軸とした就職活動で、就職先は電子機器・生活雑貨総合メーカー・(株)グリーンハウスに決定。環境に配慮したモノづくりをめざして、卒業研究では〈アップサイクルの可能性と未来 産業廃棄物を利用したアクセサリーキットブランド「 mato(u)real 」の提案〉に挑戦。
三富瑠音:楽しいだけじゃなく、人の役に立つゲームをつくりたくて、卒業研究は心理学者の意見も参考にした〈心に寄り添うゲームの提案〉に取り組む。就職活動も同じ方向性で進め、ゲーム・エンターテインメント制作会社・(株)バンダイナムコエンターテインメントに決まった。
連載第1回:これから、就職活動や卒業研究に立ち向かっていく君たちへ
————やりたいことができる会社に行けるかが不安でした。でも、同時に何社か受けたことで、ちょっと安心できたかな。(三富)
————就職活動でいちばん不安だったSPIテストの準備は、4月からじゃ遅いと思い、2月から始めてました。(足立)
————卒業制作ではやりたいことをやりきりたいと、ポジティブな気持ちで臨みました。4年間ずっと、興味を持ったことをメモしてきたのが役立ちました。(黒崎)
■就職活動や卒業研究へ向けての心構え
武藤 今日は、これから就職活動や卒業研究に取り組む後輩諸君の参考としてもらえるように、この春卒業する4年生3人に自分たちの経験を話してもらいます。まず、就職活動や卒業研究を始めるにあたって、何か不安や心がけたことはありましたか?
三富 就職活動では、やりたいことができる会社に行けるかが、まず不安でした。これは、いちばん行きたい会社の他にもいくつか同時に受けておくことで、ちょっと安心できた感じです。卒業研究はやることがたくさんあって、最後までやりきれるかが不安で、できるところから早めに終わらせていこうと思ってました。
足立 就職活動の不安はSPIテスト(SPI総合検査)でした。受ける会社によって出題の傾向も違うので、4月じゃ遅いと思い、2月から準備を始めました。おかげで4月には、何とか不安は解消できてたかな。4年生になったら卒業研究をやることはわかっていたので、漠然とですが、入学当初から何をやるか考えていました。で、ある程度ジャンルは決めていたので、あんまり不安はなかった。
武藤 2月からSPIテストの準備を始めたんですね。それは良かった?
足立 ええ、SPIテストはいろんなジャンルを網羅してないとダメなので、毎日朝1時間、夜3時間くらい必ず勉強しました。3月までである程度つかめたら、さらに新しい問題を解くようにしていきました。勉強を怠ったジャンルで落ちるのは、いちばんイヤだったので……。
武藤 SPIテストでは、幅広いジャンルを勉強することが大事だね。卒業研究を始めるにあたっての、足立くんなりの後輩へのアドバイスって、何かある?
足立 自分のやりたいことを見つけること、ですね。どうしても見つからなかったら、先生や友だちなど、人に聞くのもいいと思います。
武藤 他人の方が、自分のことを客観的に見てくれる場合もあるからね。黒崎さんは?
黒崎 私は、就職活動にも卒業研究にも不安はなかったですね。学生生活最後の課題となる卒業研究は、やりたいことを後悔なくやりきりたいというポジティブな気持ちだったし、就職活動はインターンや試験の準備にもそんなに「攻め気」じゃなく、気負いがなかったので、かえって不安がなかったんだと思います。
武藤 「攻め気」じゃなかったことで困ったことはなかった?
黒崎 面接の時に、3年生からインターンに参加してました、とか、過去の実績として言えなくて、そこで「攻め気」の人と差をつけられた感じはありました。
武藤 気負わないことは、良い面と悪い面があるかもしれませんね。一方ポジティブに考えていた卒業研究では、やりたいことが見つけられたのはいつ頃でしたか?
黒崎 この4年間ずっと、普段から興味をもったことは携帯のメモ帳に書き留めておいて、それがちょっとずつたまっていました。4年の始めにそれを見返して、あ、これを1年間やりたいな、と。
■就職活動や卒業研究のテーマ設定のタイミング
武藤 就職活動と卒業研究は時期的にも重なることが多いと思います。みなさんは行きたい職種や会社をいつ頃決めて、どのあたりから就職活動を始めたのか、また卒業研究のテーマを決めたのはいつか、教えてもらえますか。
三富 私は、人の心の支えになるようなゲームをつくりたいと考えていたので、就職したい会社は3年生の秋には決まっていて、そこからずっと就職活動を続けてきました。卒業研究でやりたいテーマも同じだったので、3年の後半にはつくりたいもののイメージがふんわりあって、4年になったタイミングで、「よし、これをやってみよう」と、決意しました。
足立 僕はもともとアニメーション制作会社に入りたかったので、就職活動と卒業研究は関連させていました。2011年に放映されたあるアニメが好きになって興味を持ったんですが、まだ将来の夢というほどではないまま、明星デザインに入学しました。3年の時にフジテレビの人と一緒に番組を制作する授業があって、そこでプロの番組制作を間近で見て、「自分もやってみたい!」と思うようになりました。でも、明星デザインでなぜアニメーションをやるのかという理由づけが弱いと感じたので、卒業研究はアニメーションに関する研究に決めました。
武藤 すごく一貫してるね。
足立 自分の中で一貫させるために、卒業研究のテーマをアニメーションにしたんです。
一同 えーっ、すごい!(笑)
黒崎 私は、小学生くらいの頃からモノづくりができる会社に行きたい、企画から製造、販売まで、ぜんぶやってみたいと思っていました。欲張りですが(笑)、就職活動の軸もモノづくりや企画ができる会社でした。3年の12月に学外のエコデザインのプロジェクトに参加して、これからは環境問題に対応したデザインが重要だと感じました。で、4年生になった4月にそういうデザインを卒業研究でやってみたいと考えて、気づいたら就職先も環境問題をちゃんと考えているようなモノづくりの会社でした。なので、卒業研究と就職活動がすごく自然にマッチしてたって感じです。
武藤 みんなそれぞれですが、共通しているのは、4年生になる前の段階から、やりたいことがあった、ということですね。
(第2回に続く)