明星大学デザイン学部の3年生は、前期の必修科目「企画表現5」において、それまでの学びを生かして地域の課題を解決する企画提案を行う「八王子活性化プロジェクト」に取り組みます。
「社会とつながるデザインの力」を養うことを重視する明星デザインならではの地域連携プロジェクトについて、本稿ではそもそも「企画表現演習科目」とはどんな授業なのか、そしてこれまでに提案された企画についてご紹介します。
そもそも「企画表現演習科目」とは?
明星デザインでは、入学時にデザインの専門知識がない学生でも、さまざまな科目を横断的に学びながら実践的なデザイン力を培えるカリキュラムを用意しています。
なかでも「企画表現演習科目」は、1年生前期から3年生後期まで、半期ずつ展開している明星デザインの教育の根幹を成す必修科目です。
■企画表現1(対話・文章):「聞く・話す・読む・書く」というコミュニケーションの基本を、レポート作成や冊子づくりを通して学びます。
■企画表現2(調査・分析):アンケートやインタビューなどさまざまな調査・分析手法を用いて、現状を的確に分析し、自ら課題を発見する力を養います。
■企画表現3(発想・思考):普段何気なく使っているモノを、角度を変えて捉え直すワークショップや、オリジナルの文具開発を通じて、既存の考え方にとらわれない発想力を身につけます。
■企画表現4(プレゼンテーション):「不特定多数」「少人数」と、それぞれのシチュエーションに応じて、自分の考えを的確に伝えるためのプレゼンテーション力を身につけます。
■企画表現5(統合):後述
■企画表現6(発信):社会とのつながりを意識しながら、自分の伝えたいメッセージを明確にし、これまでの学びやこれから挑戦してみたいことをポートフォリオにまとめて就職活動へつなげます。
上記のように、「聞く・話す・読む・書く」といったコミュニケーションの基礎から、伝えたいことを効果的に発信するためのプレゼンテーション方法まで、段階的に学んでいけるのが特徴です。
そんな授業の集大成といえるのが、3年生前期の「企画表現5」です。グラフィック、メディア、プロダクトなど、専門分野の異なる学生が“仮想のデザイン会社”としてチームを組み、自治体から依頼された課題に対して、スケジュールや予算管理もしながら調査・分析を進め、アイデアを計画書にまとめて、クライアントである自治体に提出します。
それまでの課題が学生各自で取り組むものだったのに対し、自治体の職員や地域企業、住民らとともに協働しながら、実践的に学ぶグループワークとなっています。
過去には市に採択されて実現した企画も
自治体との連携は2015年度から始まり、2018年度までは日野市役所、2019年度からは八王子市役所の協力のもと進められています。
依頼される課題は、「ふるさと納税」「歩きたくなるまちづくり」「物産展でのPR方法」「公衆浴場の振興」「大規模施設改修に向けた提案」など多岐にわたり、過去には実際に企画が採択されたケースもあります。
たとえば、2018年度に「日野のおみやげ」として企画提案されたラペルピン「四季花(しきか)」は、地域企業と連携して製品化し、国際交流における大学記念品として活用されました。内容次第で大きな企画に発展し、地域の活性化に貢献できるという、デザインの醍醐味を体感できる貴重な機会にもなっています。
2020年度、八王子市役所からは「八王子農業のブランド力向上に繋がる企画提案」「鹿島・松が谷地域の魅力を伝える提案」「高齢者の社会参加を促す提案」「学生の地元企業への就職率向上策」の4つの課題が出されました。
学生たちはどんな企画を提案したのか。後編ではチームリーダーたちの体験談とともに振り返ります。
八王子活性化プロジェクト2020 特設WEBサイトへ▶︎ https://kenkyu.hino.meisei-u.ac.jp/k5-2020/