ものづくりで問題を解決

卒業後はお菓子のメーカーで、グラフィックデザイナーとして働くことになりました。 じつは、就職活動では内定をいただいた会社が数社あったんですが、その会社に行こうと決めたのは、そこがメーカーで、お菓子の味からつくり上げていく会社だったからです。 僕は明星デザインで、デザインというのは依頼してくる人がいて、その人たちの要望を聞いて、より良い結果にするためにどうしたらいいかを考えることだと学んできました。僕はずっと絵を描くこと好きで、入学前はアートとデザインの区別がつかなかったんですが、そこが違うところです。ものづくりのかたちで問題解決を図るのが、デザインの考え方です。 その会社はデザイン部の隣に企画部があって、打ち合せがとってもしやすい環境なんです。デザイナーとして、企画部の意見には、丁寧に耳を傾けたいと思っています。本当は心の中では、コンセプトづくりから関わりたいという希望があるので、チャンスがあれば、企画会議の席に同席させていただく、なんてことができたらいいなぁ、と思っています。

人との出会いが可能性を広げる

明星デザインでは、人とのつながりができていくことが、財産になりました。 企画表現演習科目は、実社会と関わるカリキュラムがたくさんあって、そこでお世話になった方々とはその授業だけで終わることがあまりなくて、引き続き別のプロジェクトに携わらせていただいたり、学生にこういうことを頼みたいとお声がけいただいたり。先生方とも授業以外の場所で一緒にプロジェクトを行ったり、授業の枠に収まらないことからも、いろいろ学ぶことができました。 インターンシップ先にも、僕はとても恵まれていたと思います。3年生の夏に1カ月という長い期間お世話になった印刷会社は、紙の性質を利用して可能性を広げる挑戦的なことをやっていて、そこで現場の仕事を任せていただけたことで、グラフィックデザイナーになる決意が固まりました。そこからはもう修行だと思って、先生に第一線で活躍するグラフィックデザイン事務所を紹介していただいて、インターンシップに行きました。

デザインの役割を考えてみる

僕はなかなか自分から行動を起こせる人間ではなかったけど、そういうひとつひとつのことが自信につながって、自分に必要だと思ったことは積極的に、自主的に動くことができるようになりました。 入社前に会社に志願して、今は、会社のお菓子を扱う百貨店の売り場にアルバイトに行っています。商品を届けるお客様の顔も見ておきたかったし、店員さんが説明してお客様が購入を決めてくださる、その流れのなかで、グラフィックデザインがどういう役割を果たしているか、確かめておきたかったからです。 デザイン部に入社する同期は、僕以外全員、美術大学の出身者です。僕はグラフィックデザイナーになるための準備を始めたのも遅かったし、制作スキルは追いつかない。でも、僕がめざすデザインは、「モノ」をつくるだけではなく「コト」をつくるデザイン。そこは明星デザインで学んだことを信じて、やっていきたいと思っています。
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