デザインの始めの一歩は目的が何かを考えること
3年生の時に受けたワンデイ・インターンシップで、生活用品を自社で企画・販売する企業数社に参加しました。それぞれの企業によって、商品の良さに求めるものが、機能性だったりまずは価格というように異なるのだな、と感じました。そのなかから、僕は、自分が明星デザインで培った力が生かせそうだと思えた、人々の要望に応えることを第一に順序づけて商品企画をする企業に行きたいと思いました。
僕は高校まではデザインについてはまったく知りませんでした。進学を考えたときに明星デザインの説明会に来て、そのときの話がすごく興味深くて、デザインって面白そうだと初めて思いました。それは「橋をつくる依頼を受けたらどうする?」という話。よく考えると、橋というのは手段であって、目的は対岸へ渡るということ。もしかしたら橋とは違った提案だってできるかもしれない。どんな目的があってそれをどう問題解決するか。その仕組みを考えることが、明星デザインで学ぶ「デザイン」です。
実践的な授業で知った地域と関わる楽しさ
明星デザインでの4年間は、めちゃくちゃ楽しかった。授業はちょっと大変ですが、分析力や発想力、プレゼンテーションやコミュニケーション力まで、デザインのために必要な力が着実に身についていく。僕自身は、やはり、企画力というところを社会で発揮してみたいです。
そう思ったのは「企画表現演習5」がきっかけです。八王子市の農業問題をテーマにグループワークで課題解決に取り組むという授業でした。高齢化が進み人口が少なくなっていく中で後継者も減っていく。実地で調査をすると、農業に興味のある若者がいないという問題点が浮かんできたので、小中学生に向けた農業体験イベントを企画しました。実際に農家の方々にお話しを伺って企画内容の相談もしました。このとき、地域の課題解決に向けて地域の方と一緒に盛り上げていくということが面白いな、と感じました。
実践的にデザインを学べることが本当に明星デザインの強みですね。自分の視野や世界も広がります。
地域を活性化する場を提案したい
就職は、生活全般を扱う製造小売業に決まりました。僕には、地域から発信して日本を盛り上げていきたいという強い思いがあります。そこで、去年社内に発足した「地域事業部」が置かれた店舗への勤務がかない、新入社員研修の後、僕の地元の店舗へ赴きます。
地域事業部では、店舗が地域のコミュニティセンターになるような、個店経営を目指していくことになります。それもあって、卒業研究では「あいさつから仲良くなる仕組みと場所」というものを考えてみました。店舗では「いらっしゃいませ」というあいさつが一般的ですが、それに返答するあいさつってなくて、そこからコミュニケーションにつながらない。それに「いらっしゃいませ」というあいさつは、その場で店員とお客様という関係性を固定してしまう。そこであいさつを変えてみたらどうか、という実験と検証です。
もちろんこれは思いつきの一案にすぎませんが、実際の店舗でも、例えば地元の特産品について深く知るイベントとか、いろいろ企画できると思います。そこに来たら何か新しい発見や楽しい学びがあるような、そんな場をつくる提案を、積極的にしていきたいです。